心を空っぽにして今ここにある愛しいものと向き合う住まいメインイメージ

心を空っぽにして
今ここにある愛しいものと
向き合う住まい

飯田市 Y邸
玄関からLDKに一歩踏み込んで小さく息を呑んだ。南側全面に木々の緑が広がっていたからだ。ここは高原の別荘かと見紛った。
Y邸は飯田市街の住宅地に立つ。道路に面した外観の表情はシンプルで、塗り壁と木部、ガルバリウムの組み合わせに品を感じる住まいである。その奥に林は確かに見えていた。けれど、屋内から見る緑がこれほど開けているとは。ひととき両隣の存在を忘れた。
この嬉しい悪戯は、巧妙なプランニングにより仕掛けられた。宅地は河岸段丘上にあり、林のある南側に向かって傾斜している。そのロケーションを最大限に生かすべく、東西に長い配置とし、南面の開口部を広く取る。吹き抜けの効果も加わりLDKの開放感は抜群だ。一方、玄関のある道路側は開口を極力小さくした。そのギャップが視覚に罠を掛け、新鮮な驚きをもたらす。
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南側から見たY邸。道路に面した反対側とは対照的に、大きな開口を設けている。緩やかな傾斜地にデッキを張り出して、外の環境もうまく取り込んでいる。

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カーポートの屋根が玄関まで覆っているので、雨の日のお出かけや買い物帰りにとても便利。ご主人はこのスペースを使ってバーベキューも計画している。

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木々が近所の喧騒をさえぎり、家の中にいると住宅地であることを忘れてしまうほど。南側が大きく外に向かって開かれ、吹き抜けの効果もあってとても開放的だ。

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キッチンからダイニング、リビングへ直線につないだプラン。床材はオーク。壁は珪藻土塗り。

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屋根が東から西へ緩やかに傾斜するシンプルなデザインの平屋。建物の南と西にウッドデッキを設けた。

ご主人は、お子さんが巣立つ前に我が家と呼べる場所をもたせたいと家づくりを計画した。大事にしたのはメインのLDKを広くゆったりさせること。没個性にならない自分たちらしい家にすること。哲・ブレイブデザイン工房を選んだのは、デザインと機能のバランスがとれたハイクオリティな家を、コストを抑えて建てていると高く評価したから。その思いに対して設計の堀内氏は、構造を重視したシンプルデザインという同社のコンセプトを基に、この土地にこそ相応しいプランを提案した。
木洩れ陽のゆらぎ、鳥のさえずりや虫の音、草木の香り、そして家族との時間。今ここにあるもの愛しいものすべてに、心を空っぽにして向き合える住まいだ。
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吹き抜けを介して1階と2階の一体感があるから、家族の目線が自然と交わる。会話も自ずと生まれる。それでいて、一人の時間も悪くない。ご主人は家族が寝静まった後、一人ダイニングやリビングで晩酌を楽しむという。

PLAN

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DATA

敷地面積356.28㎡ (107.56坪)
延床面積154.85㎡ (46.75坪)
1F面積105.99㎡ (32.00坪)
2F面積48.86㎡ (14.75坪)
デッキ14.90㎡ (4.50坪)
工法木造在来軸組工法
基礎ベタ基礎
構造材柱:ヒノキ、梁:米マツ、土台:ヒノキ
断熱材屋根:パーフェクトバリア30K+13K、
壁:パーフェクトバリア30K+13K、
基礎:パーフェクトバリア30K
主な外装仕上屋根:ガルバリウム鋼板スタンディング葺き、
外壁:ジョリパット塗り+スギ板+レッドシダー張り、その他(ガレージ):ガリバリウム鋼板サイディング
主な内装仕上天井・壁:珪藻土塗り、床:(1F)オーク・(2F)ナラ
開口部樹脂Low-Eアルゴンガス入り
キッチンウッドワン
キッチン熱源IHクッキングヒーター
バスルームタカラ
暖房の種類冷暖房輻射パネル
UA値0.4
※この記事は住まいnet信州Vol.31を再編集したものです。